はろーはろーはろー!
脚本担当の倭姫です(*´∇`*)
新生活が始まった方も多いと思われますが、皆様どうお過ごしでしょうか?
α.nightでエイプリルフールネタもやってみたかったんですが、ちょっと間に合いませんでしたね(;´∀`)
その代わりと言っちゃあなんですが、プロトコルでSSSネタをちょろっと書いたので乗っけておきます。
相変わらず海斗と美羽ちゃんです。
次は拓真とてんてんのお話とか書きたいですねv
※本編ネタバレを含みます。
ご注意ください。
では、追記よりどうぞ!
「わ、スーツだ……」
鏡の前でネクタイを締めていたところで、背後に眩しいほど若々しい生足が映り込んだ。制服のスカートから伸びるそれは美羽のものだ。ぱちくりと瞬かれた大きな目が、鏡越しにじいっと見つめてくる。
「おー、みゅう。はよ」
「おはよ、海斗くん。なんでスーツ?」
「就活。説明会あんだよ、今日。かったりぃよなー」
ふうん、と返事を零す美羽はどこか所在なさげだ。どうしたと振り向けば、途端に目が逸らされる。「お?」と思ったのは一瞬だ。まだあどけなさを残したふっくらとした頬に、薄い桜色が散っている。尖った唇がなにかを言いたそうにしているのに、どれだけ待っても彼女はなにも言おうとしなかった。
「どーした? つか珍しいよな、みゅうが朝からうちに来るなんて。遅刻しないのかー?」
「今日はクラブだけだもん。遅刻は大丈夫! おにーちゃんが海斗くんにプリント届けて欲しいって言ってたから来たの」
「プリントぉ? ……ああ、特講のレジュメか。先週代返してもらったし、それだな。あんがとよ」
「どういたしましてっ! それじゃ、みゅうもう行くね」
くるりと踵を返して砂利を鳴らそうとする美羽の手を、反射的に掴んでいた。細い手首だ。
振り向いた顔が赤い。困ったように寄せられた眉間のしわも、ぎゅっと引き結ばれた唇も、ただの子供と笑うには忍びない色香が漂い始めていた。
「なんだよ、スーツ姿がカッコイイからって見惚れてんのか? え?」
「ちっ、違うもん! 海斗くんの馬鹿! ジイシキカジョー! オヤジくさい!!」
「オヤジ!? おっま、それはねぇだろ!」
「海斗くんにナンパされたっておにーちゃんに告げ口してやるんだから! 覚悟しててよねっ!」
それは困る。
あのシスコン拓真のことだ、やいのやいのと電話口で文句を並べ立て、よく分からない説教を一時間近く垂れてくるに違いない。「待てよ!」慌ててそう叫んでみたものの、ツインテールをうさぎの耳のように揺らす少女は、もう遥か遠くに行ってしまっていた。
そんな後姿を見て、掃除をしていた父がほけほけと笑っている。海斗にも視線を向けたくせに、なにも言わずにほけほけと笑い続けるのだからたちが悪い。
ぐしゃりと頭を掻き乱し、海斗は締めたばかりのネクタイを緩めて息を吐いた。
「たっく。……なぁにが『海斗くんが弟になればいいと思うの』だよ」
プロポーズまがいのことをしでかしても、まだまだガキだな。
そんな独り言に呆れたように、鳩が一羽くるぅと鳴いた。